税務調査⑤−講評から調査終結まで
前回④で中間講評までの流れやポイントを説明しました。今回で税務調査の終結まで説明いたします。
中間講評から実地調査終結まで
中間講評において指摘された項目については、調査官も調査後に国税局内で行われる審理のために、より確証高い資料の収集を始めます。この辺りから、新たな論点はほぼ出てこなく、テーブルに載った項目をどのように着地させるかという点で調査が進んでいきます。もちろん、同様の項目で指摘金額の増減はございます。
最終講評(総括)
反論内容を整理し、最終的にどうするかを現場の調査官と結論づけます。調査官側も絶対に譲れない論点と譲って良い論点の二通りがあるので、これは税理士にも相談して反論する項目を決定しましょう。また、現場の調査官と記したのは、その後国税局側で審理があるため、内容が覆る可能性があるためです。仮に指摘事項に納得できず、修正申告に応じないことをほのめかすと、先方は更正という手続きが必要になるため、少し調査が長引く可能性があります。一方、修正申告をすると誤りを認めたということになりますので不服申立ができなくなります(更正の請求は可能)。
審理後の調査結果の説明と修正申告の勧奨(調査の終結)
実地調査が終了すると、国税局側の審理の手続きに入ります。審理の過程で追加の資料が必要な場合は、経理宛に連絡がありますので、資料を準備の上FAXや郵送で送付します。これを何度か繰り返すと、審理を通過して最終結果の説明と修正申告の勧奨という手続きをしに調査官が再び来社されます。平成25年1月の国税通則法の改正以来、修正申告の勧奨の手続きが調査官側に義務付けられており、改めて修正申告するかどうかの確認に来ます。修正申告の勧奨の手続きは調査終了の正式な通知ですので、ここで更正すると伝えても、さらに調査が継続されるということはありません。
修正申告若しくは更正
修正申告に応ずる場合は、調査官に修正申告書のドラフトを提示し、チェックしてもらいます。それを基に修正申告、納税を実施いたします。更正の場合は、国税局から更正の通知書が届きますので、それを基に一旦納税し、必要であれば不服申し立ての手続きに移行します。これらの追加納税に対しては、過少申告加算税や延滞税などのペナルティがかかりますので、それを事前に納付するか、若しくは正式な通知を受領してから改めて納税します。
以上、5回にわたり税務調査の流れとそれぞれのポイントを記載しました。
最後に、調査官も一人の人間であることを意識すること。たとえ横柄な態度をとる調査官であったとしても誠実冷静に対応し、調査官との信頼関係を築くこと。一方で会社として納得できない部分に関しては、毅然とした態度で税理士など専門家のアドバイスを受けながら法令等に基づき反論するということが、税務調査対応においては重要かと思います。