国税以外の税務調査(外形標準課税・事業所税)

法人税消費税や源泉所得税以外の、地方税でも税務調査が行われることがあります。特に、外形標準課税を適用している会社では、外形標準課税に関する調査が実施されることがよくあります。また、あまり件数は多くないと思いますが、事業所税に関しても調査が行われることがあります。今回は、この2種類の税目の税務調査に関して記していこうと思います。

法人事業税の税務調査

まず、法人事業税及に関しては、簡易な書面や電話による確認のみで、実地調査が入らない法人があります。逆に、実地調査が入る法人は以下の法人などです。

  1. 外形標準課税適用法人
  2. 収入金額課税法人(太陽光発電事業などの電気供給業など)
  3. 海外に支店を有する法人
  4. 社会保険診療等の所得の課税除外制度の適用を受ける医療法人等
  5. 連結納税を選択している法人

法人事業税の課税標準は基本的に法人税法で計算された課税標準を基にしておりますので、法人税と事業税で課税標準が変わらない上記以外の一般的な法人は事業税の調査は入りません。つまり、法人事業税上のみ特殊な課税標準の計算をする法人には事業税の実地調査が行われることがあり、代表的なのが外形標準課税適用法人(資本金が1億円超の法人)です。

外形標準課税の調査

外形標準課税の調査ですので、「所得計算」を確認しにくるというよりも、報酬給与の集計方法に誤りがないか、資本割の特例の適用計算に誤りがないかといった観点のみ確認されます。従って、用意する書類も賃金台帳などの人件費周りの書類が多いです。

指摘として想定されるのは、以下のような項目です。

  • 損益計算書上の給与勘定と賃金台帳の給与総額に差異(現物給与拾い漏れなど)
  • 実際には給与所得だが、一般的な従業員とは違う勘定で処理している支払い(産業医に対する報酬など)
  • 手数料の支払いなどの中に利息相当が含まれている
  • 特定持株会社の特例計算に誤りがある

実地調査のスケジュールは長くて1週間ほどで、流れは法人税の調査に似ているかと思います。ただ、支店等に行くことはなく、書類の確認だけで終了することがほとんどかと思います。

事業所税の税務調査

事業所税の税務調査は頻度としてはかなり低いのではないかと思います。事業所税も外形標準課税と同様、課税標準が人件費になりますので、用意する書類としては、まずは人件費関係の書類ということになリマス。それにプラスし、賃貸借契約書やオフィスの図面などを準備し、それらを調査官に郵送などで提出します。調査官と何度か電話口でのやりとりを終えたのちに、オフィスの状況を見に実地調査が行われます。

実地調査では、非課税としている福利厚生施設の面積などをメジャーを使って実測し、面積の妥当性の検証をしていきます。およそ1日で終わってしまうのではないかと思います。その後、先方の審理などの内部処理が完了したのち、修正申告のお願いなどの連絡が来るという流れです。

以上が外形標準課税と事業所税の税務調査の概要になります。国税調査官とは違い県や市の職員の方が調査官として対応しますので、その辺(調査官の質)も少し国税の調査とは違うとお考えください。