税務調査③−実地調査の流れとポイント


概要

前回は税務調査の税務署からの事前連絡から社内での事前準備に関して記しました。今回は、実地調査のポイントを記します。なお、数ヶ月の税務調査を前提としておりますので、その点ご留意ください。

実地調査初日

実地調査の初日は、事前に準備していた資料を提出し内容を説明したり、パソコンやプリンタの操作方法などを説明します。調査官との事前の交渉次第ですが、事前準備資料はすべて原本を当日手元に置いておかなければならないということはありません。会社のシステムを使用してある程度情報を収集し、その上で気になる取引につき実際の証拠書類の原本を確認する方が、様々なことが電子化されている昨今、税務調査においても効率が良いですからね。従って、調査官用の会社のパソコンを用意するということが多々あります。その際は、閲覧権限の設定に注意する必要があります。もちろん、すべて見られても構わない状況で臨むのがベストですが、念のため。実地調査の初日は、事前準備資料の説明、パソコンやシステムの使用方法の説明でほとんどが終わってしまいます。

実地調査二日目以降

実地調査二日目以降で、具体的な取引に関する質問が出てまいります。調査官も事前に確定申告書や以前の調査資料を確認していますし、また、税務調査で問題となる論点というのはある程度パターン化されていますから、質問が出てくるのは早いです。会社の規模が大きくなると取引内容の詳細(例えば、どういった目的の費用でどういった成果物があったのかなど)を経理部だけですべて説明することは困難になりますので、担当の事業部の方などに直接資料を準備頂き説明をしてもらいます。ここからが税務調査の本番です。

調査官への説明のポイント

どういった意図があってその取引の説明を求められているのかがわかるかどうかが最大のポイントです。事前にある程度の質問内容の概要は教えてくれたりしますが、実際のインタビューでは一次回答によってさらなる質問が出てきますので、すべてを予想することは困難です。ただ、核となる税務上のポイントさえわかれば、説明の方法やどういった資料を提出するかについて検討することができます。説明者も不安ですから、ここが経理部や税理士の腕の見せ所だと思います。インタビューが決まったら事前にどういった資料を準備してどういったポイントを説明するか、説明者の方と経理部若しくは税理士は少しでも良いので打ち合わせをした方が良いです。

説明時の注意点

まず、大前提ですが、嘘を言ったり黙秘することは絶対ダメです。わからないことや言って良いものか判断に迷うことがあれば、確認してからまた説明するということで構いません。事実を淡々と語り、必要以上なことは話さないというのが鉄則です。また、説明は必ず経理部若しくは税理士が同席している場で行いましょう。調査官側の質問の意図を汲み取って調整する役目であるとともに、新たな宿題があることも多々ありますので、それがどういったものかを把握し、宿題の進捗をコントロールする必要があるからです。

調査官との関係

経理部は税務調査の窓口ですから、経理部の心象が調査官の会社への心象と考えても過言ではないです。前回の②の記事で示した通り、税務調査は期間がある程度決まっており、調査官も効率よく問題点を抽出したいと考えております。調査の効率性を経理部側も考え、誠実に迅速に対応し、調査官も効率よく調査できているという心象を持ってもらえれば、調査官と経理部との間で信頼関係が築けます。信頼関係を築くことは調査を経理側である程度コントロールする上で大変重要で、調査官から突拍子もない指摘を受けることもなくなるかと思います。

もう少し書きたかったですが、少し長くなりましたので、続きはまた別の記事に致します。