税務調査④–頻出論点など


概要

前回の記事では実地調査でのポイントを中心に記しました。今回は実地調査二日目以降のイベントや税務調査の頻出論点を簡単に触れたいと思います。毎回記載してしまいますが、数ヶ月の税務調査を前提としております。

支店・工場などへの出張実地調査

支店や工場がある場合は、それらから比較的規模の大きい事業所が選定され、実地調査が行われます。支店や工場は本社から離れておりますので、内部統制があまり効いていないのではという観点もあるようです。

支店・工場も含めた調査での論点になるパターン化されたポイント

前回の記事でも記載しておりますが、やはり王道のパターン化された指摘事項というのが存在します。必ず調査されると考えてください。

⒈交際費

支店も含め、交際費は頻出です。具体的な論点となりそうなのは、①飲食費(5000円基準の人数をごまかしていないか等)②タクシー代(接待後のタクシー代を旅費としていないか等)③協賛金名目の支出(どういった目的で支出されたものなのか)などです。旅費交通費の元帳を確認したい、協賛金として支払っている取引の内容をインタビューさせて欲しいなどあれば、交際費の論点が考えられます。

⒉取得価額・資本的支出・修繕費

取得価額・資本的支出・修繕費は工場での頻出項目かと思います。論点としては、①搬入据付費用(取得価額の付随費用としているか)②情報システム部の役割(ソフトウェアの取得価額とすべき項目はないか)③修繕費(資本的支出に該当するものはないか)などです。修繕費の元帳を確認したい、情報システム部の人員表と業務内容をインタビューしたいなどあれば、取得価額、資本的支出の論点が考えられます。

⒊前払費用・貯蔵品・未確定債務

前払費用・貯蔵品・未確定債務も頻出論点です。論点としては、①業務委託費・外注費(成果物は収受しているのか)②販売促進費(販売用ツールなどが在庫として残っていないか)③試験研究費(委託試験研究は成果物があるか)などです。それらの元帳の確認が求められている場合は、前払費用・貯蔵品・未確定債務の論点が考えられます。

⒋関係会社間取引

関係会社間の取引が質問されている時は、寄附金の論点の可能性が高いです。子会社が負担すべき費用を親会社が負担しているのではないか、寄付贈与行為ではないかという論点が考えられます。

以上のような論点を中心に、実地調査は進んでいきます。

実地調査終盤

実地調査も終盤に差し掛かると、一旦今までの論点を調査官側から説明して頂き、こういった点を問題として考えているが、会社はどう考えるかという問いかけのミーティングが開かれます(中間講評のようなもの)。そこで、会社側として承服できない論点があれば、また改めて反論するという流れになります。中間講評は、できれば顧問税理士に同席してもらった方が良いです。税法や通達、判例などを基に反論する必要があるため、事実関係と調査官の主張内容を的確に把握する必要があるからです。

今回で税務調査の記事は終わりにしようと思いましたが、書くことが多くてなかなか出口が見えない…また次回に続きます。