住宅ローン控除と繰上返済
住宅ローンの金利が低いです。変動金利だと1%を割り込んでいる状態が続いています。一方、住宅ローン控除と呼ばれる住宅ローン残高に対する税制優遇措置は、改正を続けながら残っています。そのような状況の中、住宅ローンの繰上返済を積極的にするかどうかにつき、記していきたいと思います。2019年4月現在の法令に基づいている点にご留意ください。
住宅ローン控除制度
住宅ローン控除は正式名は「住宅借入金等特別控除」といい、新たに住宅ローンを組んだ人が10年間、年末のローン残高の1%相当を所得税・住民税から控除が可能となる制度で、例えば年末で3000万円のローンの残高がある方は最大30万円をその年の所得税(若しくは住民税)から控除ができるという制度です。最大と記載したのは、その金額まで所得税(若しくは住民税)がない場合は、還付を受けることはできないという意味です。適用要件や住民税の控除限度額など色々と複雑ですが、詳細は下記国税庁及び東京都主税局のHPをご参照ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1213.htm
http://www.tax.metro.tokyo.jp/kazei/kojin_ju.html
繰上返済
一方、住宅ローンには金利がかかるため、繰上返済をしてローン残高を早く減らした方が、金利減少効果があり得だと考える方も多いかと思います。
しかしながら1%を切る変動金利の場合は、住宅ローン控除を最大限活用するため、10年間は繰上返済せず返済予定額を10年経過後に一気に返済した方が良い場合があります。仕組みはすぐにわかると思いますが、住宅ローン控除額は年末のローン残高の1%なので、変動金利の利率が1%よりも低い場合は、金利負担よりも住宅ローン控除による節税効果の方が大きいためです。
返済予定のお金の運用
もう一つポイントなのは、繰上返済しないということは、その分のお金が手元に残ることになります。従って、そのお金を運用に回すことが可能になります。もちろん、元本割れしてしまっては元も子もありませんが、たとえ0.1%の定期預金であっても、そもそも住宅ローンを組む際に金利の0.1%の違いは大きなものと考えると思いますので、住宅ローンの返済のためという使途が決まっているのであれば、少しでも運用に回した方がトクになります。
住宅ローン控除と繰上返済に関して特に変動金利に関して記しましたが、「変動」金利である以上、10年間1%を超えない保証はありませんので、そこは金利の動向に関してはモニタリングする必要がある点、ご注意ください。