青色申告と白色申告(個人)

青色申告の概要は別記事、「青色申告と白色申告(法人)」をご確認ください。個人(所得税)の青色申告の制度も法人(法人税)の青色申告の制度と類似しておりますが、求められている帳簿書類が4段階に分かれており、その準備する帳簿書類により適用できる特典が異なるという点が、法人と大きく異なる点です。つまり、正規の青色申告、簡易帳簿の青色申告、現金主義の青色申告そして白色申告の四種類の確定申告の種類が存在するとイメージして頂ければと思います。今回は発生主義を前提とし、現金主義による帳簿づけは省略させて頂きます。

適用要件

法人の時と同様、個人事業主が青色申告を適用するために求められるものは、「一定の帳簿」を準備し、「複式簿記により必要とされる項目を帳簿につける」ことです。そして、その帳簿書類を一定期間保存しなければなりません。更に、事前の届出が必要です。

法人の時と繰り返しになりますが、事業を進めていく上では一定の帳簿書類を備えてそれに取引を記録することは経営状況を把握する上で必要不可欠なものです。従って、「健全に」事業運営をしていく上では一般的に流通している会計ソフトを導入し、それに取引を記録し経営分析をすることで、自然と青色申告の適用要件を満たしていることになると考えます。

ただし、冒頭で説明した通り、個人では求められている帳簿書類が数段階に別れています。目安としてはまずは「単式簿記」で記帳するかどうか、もっと具体的に言うと「貸借対照表」を作成するかしないかで正規の青色申告の適用となるか簡易帳簿の青色申告の適用となるかが別れることになり、さらに確定申告書に添付する書類の情報量がより少なくなると白色申告となります。

簡易帳簿による青色申告の適用

「貸借対照表」を作成しない(つまり簡易帳簿)で青色申告の適用を受ける場合は、1段階低い特典を受けられることとなります。適用できる特典は後述しますが、「貸借対照表」を作るのと作らないのでは、特に作業内容的にどういった点が異なるかについて記します。

「貸借対照表」は「損益計算書」とともに代表的な財務諸表の一種です。「損益計算書」は文字通り年間の損益を計算する書類で、確定申告をする上では年間の損益(所得)が把握できないといけませんので、必然的に作成することとなります。一方、「貸借対照表」は年末時点の資産負債純資産の状況を表すものであり、所得を算定する上では必須ではありません。特に、純資産の部の作成方法がよくわからないという声をよく耳にしました。その問題を抱えている方々はやはり会計ソフトを使っていない方々が多く、この問題も会計ソフトを入れれば簡単に解決してしまいます。

白色申告

白色申告は青色申告とそもそも確定申告書に添付する書類が異なります。白色申告は「収支内訳書」で、青色申告は「青色申告決算書」になります。「収支内訳書」の方が情報量が少ないため、必然的に簡易になります。また、白色申告は青色申告と違い事前の届出も不要です。

特典の違い

まずは青色申告と白色申告での特典の違いですが、ここはかなり大きく、特に法人と同様欠損を繰り越せないと言う点は、白色申告の大変大きなデメリットです。それ以外も白色では適用できず青色しか適用できない特典は法人と似ております。一つだけ、事業専従者の給与の取り扱いが個人の特殊な部分で、白色申告は一定の金額のみしか家族に対する給与は控除できません。

次に正規の簿記による青色申告と簡易帳簿による青色申告の特典の違いですが、これは特別控除額が65万円か10万円かの違いになります。

結論

字だけたくさん並べて解説していますが、結論としては、事業を継続的に行なっていきたいと考えておられる方は、経営を見える化するために会計ソフトを導入して正規の帳簿で記帳を行ってください。持続的に経営を行っていくためには会計ソフトの導入は必須で、これで正規の簿記による帳簿づけが可能となり、結果的に貸借対照表も作成され、65万円の特別控除が受けられる青色申告の特典を自然と受けられます(届出だけご注意ください)。